COLUMN

Lagomの住まいづくり

なぜマンションはこんなに寒いのか


「エアコンをつけても足元が冷える」「窓際の結露がひどい」「廊下側の部屋が寒くて使えない」—冬の寒さに悩む分譲マンションオーナーの声は尽きません。


特に築年数の古いマンションや角部屋・最上階などが「戸建ての家より寒い」と感じる根本的な理由を、コンクリートの熱特性から徹底的に解説します。


さらに、高騰し続ける光熱費を抑えながら、冬の快適さを取り戻すための具体的な断熱・結露対策を、分譲マンションオーナーの皆さんの視点に立って詳しくご紹介します。

冬のマンションは健康リスクがいっぱい

近年、エネルギーコストの高騰と地球環境への意識の高まりにより、冬の住まいの快適性は単なる「暖かさ」以上の意味を持つようになりました。住まいが快適な温度であることは、ヒートショックのリスク低減、結露・カビ発生抑制による健康被害の防止、そして何よりも暖房費の抑制という家計への大きなメリットをもたらします。


マンションの構造材であるコンクリートは、その熱特性から冬の寒さに対して非常に脆弱であり、この構造的な問題が「マンションは寒い」というイメージの最大の原因となっています。


なぜマンションは「戸建てより寒い」と感じるのか?

あなたのマンションが「なぜこんなに寒いのか?」、その最大の原因は、主要な構造材であるコンクリートの熱特性にあります。

コンクリートは熱伝導率が非常に高い特性を持っており、断熱性が高いとされる木材の10倍以上も熱を伝えやすい性質を持っています。つまり、外の冷たい空気がコンクリートの壁や床を通して、まるでダイレクトに室内に伝わってくるような状態なのです。

加えて、コンクリートは熱容量も大きいため、一度冷え込むと、その冷たさを長時間にわたって保持し続けます。冬場、日中に暖房をかけても、分厚く冷え切ったコンクリートの壁や天井が暖房熱を吸収し続けるため、暖気が奪われ続け、結果としてエアコンをどんなに強くかけても「効かない」と感じるのです。


この冷え切った壁や天井からの「冷放射」こそが、体感温度を下げる不快な寒さの正体です。例えば、エアコンで室温を22℃に設定しても、窓や壁の表面が5℃程度であれば、体感温度は15℃以下にまで落ち込んでしまいます。これは、冷え切ったコンクリートが暖房熱を吸い込み、ヒーターの反対の役割(冷却板)のように室内に冷気を放出し続けているためです。


特に、1990年以前に建てられた多くのマンションでは、断熱材が薄い、あるいは「無断熱」のケースも少なくありません。この断熱性能の不足が、コンクリートの冷輻射の影響をさらに深刻化させ、快適性を奪い、高額な暖房費へと直結しているのです。

参考として、日本の主要な建築材料の熱伝導率を比較した以下の表をご覧ください。数値が低いほど断熱性が高いことを意味します。

材料の種類

熱伝導率 (W/mK)

空気

0.024

木材

0.12 - 0.15

コンクリート

1.60

55

アルミニウム

210


この比較から、マンションの主要構造材であるコンクリートが、いかに熱(暖気)を奪いやすい素材であるかが明確に分かります。この根本的な材料特性の違いが、マンションの冬の寒さの感じ方に大きな差をもたらす起点となっているのです。



最上階・角部屋ならではの、熱損失と結露リスクの増大


あなたのマンションが最上階や角部屋なら、冬の寒さはさらに過酷になります。

最上階は、屋根が外気に直に接しているため、外気温の影響を最も強く受けます。屋根のコンクリートスラブが冷やされることで、天井から室内に冷気が容赦なく放射され、室温は急降下します。さらに、鉄筋コンクリート造のマンションでは、冷気が柱や梁を通じて建物全体に伝わる「ヒートブリッジ(熱橋)」現象が起こりやすく、建物全体が冷やされてしまうのです。


角部屋は、二方向以上の壁面が外部に接しているため、外気に触れる面積が圧倒的に広くなります。この外壁から大量の熱が室外へ逃げ出し、コンクリート壁が冷え切ってしまいます。


冬の住宅における熱損失の約5割は窓や壁から逃げるとされています。窓が多い角部屋では、この問題がより深刻化し、単なる「日当たりが良い」だけでは済まされない、暖房効率の低下という熱的な課題を抱えることになります。


結露発生のメカニズム

冬の寒さのもう一つの大きな問題が「結露」です。窓際だけでなく、角部屋の北側の壁や玄関周りの壁などにも発生しやすいのは、コンクリートの熱伝導率の高さが原因です。


外気に冷やされたコンクリート壁は表面温度が室温よりも極端に低くなります。暖房で温められた室内の湿った空気がこの冷たい壁に触れると、空気中の水蒸気が凝結し、大量の結露が発生します。この結露がカビやダニの温床となり、健康被害や建材の劣化に直結します。



木造一戸建ての冬は?マンションとの違いを比較

ここで、比較対象として木造一戸建て住宅の特性を見てみましょう。


木材は、コンクリートとは異なり、その内部に多量の空気を含んだ細胞構造を持つため、熱伝導率が非常に低いという特性があります。これは、熱を伝えにくい空気層が優れた断熱効果を発揮することを意味し、木材が「夏は涼しく、冬は暖かい」家づくりに適しているとされる理由です。


また、現代の木造住宅はただでさえ壁に100mm以上の断熱材が施工されているうえ、高気密化が飛躍的に進んでいます。これは、外気の影響を受けにくくし、冷暖房効率を大幅に向上させるための重要な要素です。高気密・高断熱化された木造住宅は、熱が逃げにくいため、一度暖房すれば暖かさを長時間キープでき、マンションとは対照的に、構造自体が寒さに強いと言えます。


マンションは気密性はもともと高いのですから、断熱性能を向上すれば木造住宅に負けないはずです。

しかし築30年程度のマンションでは、断熱等級4にも到達していないものがほとんどであり、この性能差こそが、あなたがマンションで「戸建てより寒い」と感じる根本的な原因となっているのです。



冬の寒さを根本解決するための対策


冬の寒さの過酷さは、あなたの光熱費に直結します。マンションの最上階・角部屋は、外気の影響を強く受けるため、暖房の稼働時間が長くなり、光熱費が高くなる傾向があります。この経済的な「過酷さ」を大幅に軽減し、快適な冬を取り戻すためには、根本的な断熱対策が必要です。


根本解決!断熱リフォームの実施

コンクリートの冷放射による影響を根本的に軽減するには、天井、壁、床への断熱工事が最も有効です。

  • 天井・壁への断熱工事: 冷え切ったコンクリート壁の前に、新たに高性能な断熱材を施工することで、冷気の侵入と冷放射をシャットアウトします。特に最上階では、天井の断熱補強が、暖房熱が上部に逃げるのを防ぎ、劇的に室温を安定させます。
  • 床の断熱工事: 1階や最下階でなくても、床下に断熱材を入れることで、足元から伝わる冷気を遮断し、冷え性対策にもなります。

窓の断熱リフォーム(内窓設置)

冬の熱損失の大きな原因となる窓への対策は必須です。マンションの窓やサッシは共用部分にあたるため、交換が難しい場合が多いですが、既存の窓の内側に新しく窓を取り付ける「内窓(インナーサッシ)」の設置が最も一般的な対策となります。

内窓は、断熱効果を高め、室内の温度変化を大きく抑えます。


  • また窓ガラスやサッシの表面温度を上げ、結露の発生を大きく抑制します。
  • 他にも高い防音効果も同時に得られるといった、多くのメリットをもたらします。

ヒートブリッジ対策と適切な換気

冷たいコンクリートの柱や梁が室内に露出している部分は、特に結露やカビが発生しやすい「ヒートブリッジ」になりやすいです。断熱リフォームの際には、これらの箇所を重点的に断熱材で包み込むことが重要です。


また、結露対策のためには、計画的な換気が不可欠です。高気密・高断熱のリフォームを行う際には、暖房で温められた熱を回収しながら新鮮な空気を取り込む「熱交換型換気システム」の導入も有効な選択肢となります。



さいごに

冬の寒さにおける分譲マンションの温熱環境は、その構造的特性により非常に過酷であることが明らかになりました。コンクリートの高い熱伝導率と冷放射、窓からの熱損失、そして断熱性能の不足が複合的に作用し、あなたのマンションを「冷え込み地獄」に変え、高額な暖房費を発生させているのです。


しかし、ご紹介したように、断熱リフォーム(特に天井、壁、内窓の設置)という具体的な対策を講じることで、マンションの冬の快適性は劇的に改善されます。これらの対策は、単に暖かさを取り戻すだけでなく、暖房費の削減、結露やカビの抑制、ひいては健康リスクの低減にもつながります。